Japan (日本語)
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Case Study

進化する靴の製造


Transforming footwear manufacturing.

ECCO社が靴の製造を改善するためにダイレクト・インジェクション・プロセスを採用した経緯と、Origin Oneが評価テストを通過した唯一の3Dプリンタであったことをご紹介します。

ECCO社について

ECCO社は、1963年にカール・トゥースバイ氏とその妻のビルテ氏により、デンマークのブレデブロにて創業されました。同社は現在も家族経営の会社であり、世界中に21,400名の従業員を抱えています。ECCO社の製品は、世界89か国にわたって、2,180以上のECCO社の直営店と1万4千を超える取扱店で販売されています。ECCO社の成功の一端は、その垂直統合にあります。他の大手靴ブランドとは異なり、靴型の製造から、金型の製作、皮なめし工場、靴工場、小売店に至るまで、靴の製造プロセスのほぼすべての工程を自社で所有・管理しています。靴の製造は非常に手作業が多いため、トゥースバイ氏は常にECCO社の工場が会社の成功のカギを握っていると考えていました。この信念のもと、ロボット技術、大規模な組立機械、ダイレクト・インジェクション(DIP)技術の採用など、数十年にわたり製造工程の自動化に関するいくつかの革新的な技術が生み出されてきました。
Shoe manufacturing.

DIP:少ない工程、少ない廃棄で優れた靴を生み出す

ECCO社は、靴のアッパーとミッドソールをより効率的かつ確実に取り付ける方法を追求し、ダイレクト・インジェクション・プロセス(DIP)を採用しました。DIPの大きなメリットは、工程を自動化できることです。現在、ECCO社の靴の大部分はDIP技術を使用して生産されています。靴のアッパーをミッドソールに取り付ける従来の方法は、一般的に「ストックフィット」製法とと呼ばれる手作業による製造方法です。まず、ソールを成形し、その後、手作業で組み立て、アッパーにセメントで固定します。

DIPプロセスでは、靴型に張られたアッパーが金型の上部を構成します。2液性ポリウレタンを混合して金型に注入し、ミッドソールを形成すると同時に、アッパーと強固に接着させます。この方法は、セメントで固めたソールに比べ、組み立ての手間が省けるほか、成形時にミッドソールとアッパーを接着することで、圧迫感が少なく、快適な履き心地を実現することができます。

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3DプリンタでDIPを革新

通常、靴メーカーは、ブランドごとに新しい靴の開発中に複数のサイズ、複数の異なるデザインのバリエーションを作成し、それぞれに専用の金型が必要になります。金型製作のコストが高く、リードタイムも長いため、ブランドが1回の開発サイクルで行うことができるツーリングの反復設計は数回に限られます。

ECCO社の研究開発チームは、現在の製品開発プロセスを改善およびスピードアップできないか、いくつかの3Dプリント技術を検討しました。その結果、3Dプリンタで造形された成形型や木型ツールは、開発サイクルの早い段階で、競争力のある価格帯でコンセプトシューズのサンプルを検討することができるため、大きなチャンスがあることが明らかになりました。

しかし、3Dプリンタで造形された金型は、厳しい公差を満たし、CNCアルミニウム金型で作られたものと同じ品質と性能で靴を製造できなければなりません。また、機械加工のアルミニウム金型で作られたミッドソールと見分けがつかないようにする必要があります。ECCO社は、3Dプリンタによるソリューションを求めて、数多く製品を試しましたが、最初のテストに合格したのは、だけでした。

Two Origin One printers.

3Dプリンタで作成された金型と木型

評価プロセスの早い段階で、Origin Oneの表面品質、プリント速度、精度、そして大きな断面を造形する能力は、ECCO社がテストした他のどのソリューションよりも際立っていました。さらに、と協力して、ECCO社にとって必要不可欠であった次世代の材料を開発していました。ECCO社は、2018年後半からOriginチームとの協業を開始し、Origin Oneで造形されたいくつかの材料をテストしました。をヘンケル社のロックタイトに絞り込んだ後、ヘンケル社と提携して、DIPプロセスの特定の要件を満たすために、材料構成をさらに反復設計し、再制作しました。

これにより、Origin Oneで金型を3Dプリンティングするだけでなく、ヘンケル・ロックタイトとの共同開発による別の材料を使って靴の木型も造形することが可能になりました。木型を現場に設置した3Dプリンタで造形することで、DIPツール一式を24時間以内に完成させることができるのです。

その後12か月の間に、ECCO社はデンマークとポルトガルで複数のを導入し、さらなるテストと検証を行いました。3Dプリンタで造形された金型と木型は、何千回もの製造に耐え、目に見える劣化もなく、靴の外観も従来のCNC機械加工のアルミニウム金型で製造された靴に引けを取りませんでした。ECCO社のデザイナーさえも、その違いを見分けることができませんでした。

DIPツールの未来

DIP用の金型を機械加工する代わりに3Dプリンタで造形することで、1組の金型を一晩で制作することができ、社内CNCで機械加工した場合よりも大幅にコストを抑えることができます。このコストと時間の削減により、靴の設計者はより自由に、より速く反復サイクルを行うことができるようになりました。デザイナーと開発者は、開発サイクルの早い段階で機能的な靴を試し履きすることができ、製品開発グループは新しいスタイルのフィット感と快適さを確認することができます。ブランドは、より多くの種類の実生産された靴を、より簡単に潜在顧客の前に出して、フィードバックや先行販売の機会を得ることができます。ECCO社では、Stratasys Origin Oneプリンタを複数の拠点に導入することで、金型を必要としていた場所で素早く造形することができるようになり、さらに重い金属製の金型を輸送する必要がなくなったため、結果として輸送の遅延や関税のリスクもなくなりました。

3D造形されたDIPツール活用を希望する靴製造業界に対して、エンジニアリング、パーツ製造、IPライセンス供与など、ECCO社は、フットウェア製造と金型製造のあらゆる側面を支援する能力を備え、数多くの柔軟な市場投入経路で、新たな可能性を広げています。

3D printed shoe manufacturing part.

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