優良な自動車会社や航空宇宙会社から「年間最優秀サプライヤー賞」を受賞するには、自己満足だけでは叶いません。また、フォード、ボーイング、ゼネラル・モーターズのような企業が、誰にでもこの賞を与えるわけでもありません。ところがValiant TMS 社は何度も受賞しています。Valiant TMS の名前に聞き覚えがなくても、大手OEM のサプライヤーとしては珍しいことではありません。表舞台に現れないのとは裏腹に、Valiant TMS は自動車、航空機、オフロード特殊自動車を製造する企業に「生産オートメーション・システム」を提供する、縁の下の力持ちとしてなくてはならない不可欠なパートナーなのです。
大手メーカーに生産オートメーション・システムを供給する主要サプライヤーであるということは、そのビジネス関係を維持させ、成長させるために正しいことを実施していることを意味します。つまり、常に価値の高い製品を提供し、継続的に改善していくということになります。その目標を達成するために、ValiantTMS 社はアディティブ・マニュファクチャリング(AM技術)を活用しています。「Valiant TMS アディティブ・マニュファクチャリング研究所」を設立し、より優れた代替品、大きな利点をもたらす改良型ツーリングや交換部品などを提供することで、お客さまへ貢献しています。
この機能の一例として、Valiant TMS は、AM のデジタル特性を活用して、現場のプリンタ能力を超える注文に対応しました。650 キロ近く離れた3Dプリンタの造形ソリューション・プロバイダであるTriMechと協力し、部品ファイル情報を共有し、2 社間で同じ基準で必要な部品を造形しました。この協業体制は、AM の分散型製造能力を強くサポートするものです。
「このおかげで、お客さまの要望に合わせる形で生産することができるようになりました。」
ーValiantTMS 社スペアパーツ・販売サービス担当ディレクタ Pete Naysmith 氏
アディティブ・マニュファクチャリング研究所を設立して以来、Valiant TMS はFDM® テクノロジーを含む金属と樹脂AM 技術を使った製造ソリューションを顧客に提供してきました。他の用途の中でも、Valiant TMS はFDM を使用して、製造の現場の厳しい環境に耐える工具を製造しています。しかし、これらのツールの中にはオペレータが扱うものもあるため、FDMだけでなく、より快適な使い心地のために非常に滑らかな仕上げを実現するフォトポリマーAMソリューションへの拡大を検討しました。いくつかの選択肢を研究した後、Valiant TMS は先進的なDLP( デジタル光処理) テクノロジーを使用するストラタシスOrigin One™プリンタに決めました。
Valiant TMS のアディティブ・マニュファクチャリング担当のAdrian Pop 氏は、Origin One を使って自動車産業で使われる大型工具のハンドルを作った例を紹介しました。この工具は、オペレータが1 日8 時間使用するため、重量や仕上げなどに人間工学を取り入れることが重要な役割を果たします。「重量は、手動工具では大きな問題となります。この部品は、衝撃性の高い LOCTITE® 3D3172 を使って作りました。このような耐衝撃性に優れた材料を使用できるという点は、Origin One が製造業者にとって魅力的な製品である大きな理由の一つです。射出成形に近い仕上がりに加え、幅広い樹脂材料で造形できます。造形速度もOrigin One の強味の一つであり、お客さまの期待に応えるための重要な利点です。従来の製造と比較すると、5 軸CNC マシンと1 人のオペレータを使ってこの部品を製造するのに2 日必要ですが、3D プリンタを使えば、このパーツを最大5 時間で製造できます。これにはセットアップと後処理も含まれます。」(Pop氏)
このような仕事の多くは一点ものの部品を扱うもので、だからこそAM は完璧なソリューションなのです。AM ラボの仕事について、Pop 氏はこう語ります。「ツールと言われるもの、すべてのツールはプロジェクトごとに異なります。従来の製造ではなくアディティブ・マニュファクチャリングを使用するもうひとつの利点は、従来の機械加工と比較して、ほんのわずかなコストでこの部品を製造できることです」。
Valiant TMS がアディティブ・マニュファクチャリングを導入したのは、顧客がすでに新しいテクノロジーに投資しているという鋭い観察からでした。顧客との関係を維持するために、Valiant TMS はAMを製造およびサービス機能に統合する必要があると判断したのです。
「3D プリンタの造形がValiant TMS にもたらした最大のメリットは、お客さまとの連携です。私たちのお客さまは、アディティブ・マニュファクチャリングを従来の製造工程と併用して製品を製造しています。」とNaysmith 氏は話します。彼は、Valiant TMS が顧客にAM 機能と部品を提供しなければ、他の誰かに先を越されてしまうだろうと指摘し、この戦略は理にかなっていると考えています。