ストラタシスのマルチカラー、マルチマテリアルの3Dプリンタ テクノロジーを活用することで、ペン工房のIl Pennaio社は、イタリアで最も権威のある高級ブランドの1つである「Duchessa 1935」を現代の市場に送り出しました。同ブランドから60年以上ぶりに出た、鮮やかで現代的なデザインからなる3Dプリントペンのコレクションは、長年親しまれてきた歴史的なイタリアのブランドを復活させただけでなく、高級ペン市場の様相を変えるような創造の可能性を広げています。
イタリアのデザインは、長らく「圧倒的な品質」と「職人技」の代名詞とされてきました。「Duchessa 1935」のような本物のイタリア産ブランドは、クリエイティブ業界での人気が非常に高く、とても評価されています。イタリアの歴史と文化に彩られた高級万年筆であるDuchessaは、市場で屈指の権威あるブランドとしての地位を確立し、数十年にわたる成功を収めた後、1958年にその幕を閉じました。
それから60年の間に大幅に拡大した今日の高級ペン市場には、新たな可能性と機会が広がっています。現在、その市場規模は23億米ドルを超えており、優れた品質と傑出したデザインがますます求められています。新しい挑戦を求めて、ハイエンドの高級ペンメーカーであるIl Pennaio社は最近、Duchessaブランドに目を向け、象徴的なその名前を復活させることを目指しました。ただ、Duchessaブランドを輝かしい地位まで復権させ、その豊かな歴史に応えるには、「Duchessa 1935」が競争の激しい現代市場で成功する上で不可欠な現代的な要素も取り入れる必要もありました。
Il Pennaio社は、既存のペン製造技術の限界を超える前例のないデザインを実現するために、これまでにない画期的な3Dプリント万年筆の開発に着手しました。ハイエンドファッションのパーツ・アクセサリーメーカーであるFlorenradica社と手を組んだIl Pennaio社は、最先端のテクノロジーを駆使して全く新しい機能を提供し、Duchessaの伝統的な背景と理想的な調和を実現しました。 タッグを組んだ2社は、ストラタシスの マルチカラー、マルチマテリアル対応のJ8シリーズ™ PolyJet™ 3Dプリンティング技術を活用することで、
現代的で傑出したデザインを生み出すことに成功しました。「Duchessa 1935」は、初めの発売から1世紀近くたってから再び、その名を世界に知らしめています。
鮮やかな色の組み合わせと複雑なパターンを特徴とする新しいデザインは、従来の製造方法はもちろん、他の3Dプリンタでも実現不可能だったと、Il Pennaio社の共同オーナーであるFabio Moricci氏は言います。これは、ストラタシスのプリンタが、PANTONE対応カラーを含む64万色を超える独自の色とテクスチャの組み合わせを鮮やかかつ正確に造形できたからこそ実現したと言えます。「同じデザインをテストしても、
他の3Dプリンタでは同等に近い結果すら得られませんでした。高級ブランドやハイエンドブランドが求める優れた品質を提供できるのは、ストラタシスだけだと確信しています」と、同氏は言います。
他の多くの競争の激しい業界と同様に、高級ペン市場には、大手ブランドがデザインを形にするために頼ることのできるサプライヤーやメーカーはいくらでも存在します。しかし、一般的に数種類の樹脂を使用し、すべて同じ構造であるため、見た目以外でペンを差別化する要素はほとんどないのが通常です。
それに対してストラタシスの樹脂は、この市場にとって全く異なる斬新なもので、新たな可能性を開き、Il Pennaio社とFlorenradica社のデザインへの取り組み方を変えたとモリッチ氏は言います。 「ストラタシスの技術で実現した色と素材の組み合わせを十分に追求することで、斬新でエキサイティングで真に革新的なものが生まれ、これまで停滞を感じていた市場を活性化することができました。」
このプロジェクトでは、色彩を巧みに操り個性的なデザインに仕上げるとともに、各ペンの機械部品の機能性を最大限確保するための高度な技術も要求され、Florenradica社の通常手がける制作物の範疇を超えた複雑さがありました。ハイエンドファッション分野での同社の仕事は、通常、構造的な部分よりも見た目の美しさが重視されますが、新しいDuchessaシリーズはその両方を満たすことが不可欠でした。
しかし、ストラタシスの技術的知識、Florenradica社がもつデザインの専門性、Il Pennaio社の業界知見が組み合わさることで、不可能を可能にしたのです。
また、3Dプリンタが持つ汎用性により、ペンを1本から少量生産することも可能であり、収益性の確保にもつながっています。ストラタシスのJ8シリーズ3Dプリンタは、1回のプリントジョブで複数の異なるパーツを短時間で簡単に作成でき、プリントトレイあたり最大50本のペンを造形できるため、従来の樹脂鋳造では実現できなかった特注生産、限定版の生産、1回限りの部品生産ができるようになっています。
Duchessa 1935シリーズの最初のコレクションは現在販売中で、250個で構成され、それぞれStratasys 3Dプリンタを使用してFlorenradicaのフィレンツェ本社で、設計および生産されています。このシリーズは、中国神話に着想を得た「Zhulong」や、アメリカ文化の主要なランドマークやモチーフを描いた「The American Dream」など、Duchessaブランド特有の強い文化的ルーツを反映した思慮深いデザインで構成されています。
新しい製品ラインは発売開始からすでに好調な売れ行きを見せており、新たな販売チャネルの開拓へとつながっています。Il Pennaio社は、新しいコレクションの発売からわずか数週間後に、ヨーロッパ最大のペン小売業者の1つであるLa Couronne du Comteのパートナーに選ばれ、新たな顧客の流入がを実現しました。
「ストラタシスとは長年協業しており、今回のようなきわめて困難な設計プロジェクトであっても、同社の技術と能力を確信してこの事業に臨みました。」と、Florenradica社のKatia Stanzani氏は述べています。「歴史的なDuchessa 1935ブランドを現代に蘇らせ、Il Pennaio社の軌道を変え、業界に新しい息吹を吹き込んだこのプロジェクトに参加できたことを、私たちはとても誇りに思います。」
象徴的なDuchessa 1935ブランドを一新させるために、ストラタシスの3Dプリンティング技術がどのように不可欠であったかを、以下の特集動画でご覧ください。