2010年に設立されたSEONG YUN TECHは、半永久アートメイクの機器と針を専門とするメーカーおよび販売業者です。同社は、半永久アートメイク施術分野における不満を解消することを目的として設立されました。同社設立当時、韓国の化粧品市場ではドイツ、台湾、中国の半永久アートメイク機器が普及しており、品質やアフターサービスについてユーザーから不満の声が多く聞かれていました。SEONG YUN TECHはこれを好機と捉え、事業を立ち上げました。同社の戦略は、高品質の製品をリーズナブルな価格で、信頼性が高く迅速なアフターサービスとともに提供することで、市場のギャップを埋めることでした。本社で直接製品を設計および製造しているため、お客様のニーズに合ったカスタマイズ製品のサプライヤーとして、市場で好評を博すようになりました。また、OEM(相手先ブランド名製造)メーカー、ODM(相手先ブランドによる設計・製造)メーカー向けの大量生産に事業を拡大しました。顧客が製品を受け取った後のフォローアップ管理を専属のアフターサービスチームが行うことで、顧客満足度の向上につなげています。
市場のニーズを読み取るという戦略により、同社は国際市場への進出に成功しました。事業が成長し続ける中で、より意欲的な目標に向かって前進するためには、新たなターニングポイントが必要であることを同社は感じていました。顧客数が増えるにつれ、製品ラインナップも増えていき、その結果、少量生産のときには問題にならなかったような課題が、緊急の改善目標として浮上してきました。特に、プロトタイピングプロセスを改善する必要がありました。2010年の設立から2015年まで、SEONG YUN TECH社は、同じ業界の他の企業と同様に、外部のモックアップ製作会社にプロトタイプを依頼していました。通常、プロトタイプの製作には1か月かかり、修正後の最終プロトタイプを受け取るのに2〜3か月かかっていました。最初のプロトタイプをクライアントに見せ、修正を組み込むのは複雑で時間のかかるプロセスでした。この問題は、機械加工と成形を使い続けている限り解決できません。そこで代わりに、プロトタイピングプロセスを短縮するための新しい適切な代替手段を見つけました。半永久アートメイク機器はカスタマイズされた少量バッチ製品であるため、顧客ニーズを適切に反映することが非常に重要になります。SEONG YUN TECH社R&D CenterのゼネラルマネージャーであるSungHoon Choe氏は次のように話します。「過去には、お客様のご要望に合わせて生産の初期段階で複数の設計変更が行われていたため、生産に遅れが生じていました。このような修正を行ってもなお、製品が出荷された後、お客様からグリップについて頻繁に不満の声が上がっていました」。半永久アートメイク機器は、顧客自身が手に持って施術を行う装置であるため、顧客の要望に応えることが何よりも重要です。しかし、既存のプロトタイピングプロセスでは顧客の要望に迅速に対応することは困難でした。製品の外観に加えて、製品製造でも改善された側面がいくつかあります。ゼネラルマネージャーであるChoe氏は次のように言います。「多くの場合、納期を短縮するためにケース成形、部品の機械加工、PCBボードの開発を同時に行っていました。図面では分からなかった組み立ての問題が、実際の製造プロセス時に見つかることもありました。また、包装材の2D図面のみを扱うアウトソーシング企業とやり取りを行っていたため、実際の包装プロセス時に包装関連の問題が発生し、包装材の一部を再現しなければならないこともありました」。
事業規模に応じて革新的な製造方法を開発および実装する必要があるということが分かったため、SEONG YUN TECH社は木工機械や小型NC機械など、さまざまな従来の方法を見直しました。しかし、内部評価で、従来の方法でのプロトタイピングでは、時間、コスト、非効率の問題を解決できないことが分かりました。そこで、同社はコンセプトを変え、アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)にその答えを見い出しました。3Dプリンタで利用可能なさまざまな技術、製品、材料を検討した結果、同社はStratasys Objet30 Proプリンタを選びました。その高い精度が半永久アートメイク機器のプロトタイピングに適していること、すぐに使い方を習得できる使いやすさが決め手となりました。3Dプリンタを導入した後、SEONG YUN TECH社はすぐにそのメリットを実感しました。まず、製品の新しいアイデアが浮かんだらすぐにデザインして造形できるようになりました。また、アイデアを逃すことなく、ダイレクトに製品の実現可能性を確認できるようになったことで、意思決定の効率とスピードも向上しました。3Dプリンタを使い始めてから、販売方法も大きく変わりました。2D図面のみで対応していた頃とは異なり、実際に見て触ることができる物理的なプロトタイプを顧客に見せることができるようになったのです。これまでにない製造プロセスの効率を実現できました。「計画、設計から生産、包装に至るまで、製品開発および製造プロセス全体で試行錯誤を最小限に抑えられることで、時間を節約し、コストを削減できました」とゼネラルマネージャーのChoe氏は言います。
SEONG YUN TECH社は、販売、計画、生産のあらゆる手順のイノベーションにつながり、新しい機器の導入を可能にしたとして、3Dプリンタに非常に満足しています。2020年には、フルカラーおよびマルチマテリアル機能を備えた3Dプリンタを導入することに決め、積層造形ベースの拡張機器としてStratasysのJ55 Primeを選択しました。J55 Primeを最大限に活用することで、SEONG YUN TECH社は販売力と製造力を一段と高めています。フルカラー3Dプリンタで造形されたプロトタイプは、顧客から非常に高い評価を得ています。これまでの単色モデルとは異なり、顧客側で実際の製品と同じ色と質感のプロトタイプを確認できるため、高い満足度を実現しています。フルカラー3Dプリンタによるプロトタイピングは、販売後のユーザーエクスペリエンスにおいて重要な役割を果たしました。特に最重要ポイントであるグリップについては、試作開発の初期段階からお客様のニーズに合わせて人間工学的に最適な形で実装することができたことで、成功を収めることができました。また、レンダリングソフト「KeyShot」との連携は、フルカラー3Dプリンタの価値を一段と高める機能として評価されました。ゼネラルマネージャーであるChoe氏は、「既存の製品向けの以前のレンダリングソフトウェアは、3Dプリンタとは独立したツールでした。一方、J55 Primeの場合、3MFのサポートにより、モニターに映し出されているとおりに正確に造形できます。これは非常に驚くべきメリットです。初めて使ったとき、白黒プリンタを使っていた時代に初めてカラー2Dプリンタを使ったときの感覚に似たものを感じました。J55 Primeは、造形の速さ、後処理、操作上の利便性の点で別格の性能を備えています。」と述べています。
3Dプリンタの導入後、プロトタイピングコストは1,000万ウォンから10万ウォンに大幅に減少しました。設計変更が必要な場合でも、材料のコスト以外は何もかかりません。製造期間の長さも1か月から2〜3日に短縮されました。その結果、顧客に製品をより早く届けることが可能となり、またフィードバックを受ける余裕が生まれました。お客様からの追加要請を設計に反映できるようになったことで、製造スケジュールが大幅に短縮され、修正後のモデルを2〜3日で製作して顧客に納品できるようになりました。SEONG YUN TECH社のCEOであるDongmin Lee氏は次のように言います。「ストラタシスの3Dプリンタは、製品開発に大きな相乗効果がもたらしてくれました。当社の製品開発において不可欠な存在です。3Dプリンタを利用することで、製品の計画と製造における機敏性が高まることを経験しました。将来的には少量バッチ製品にも3Dプリンタを利用することを検討しており、もちろん使うのはストラタシスの3Dプリンタと決まっています」。